2012年度 第12回Webデザインコンテスト 総評

総評

Webデザインコンテストは,10年のサイクルを1周し,2サイクル目に入っています. しかし,昨年度の講評にも書きましたが,応募作品数は第7回をピークに最近は減少傾向にあります.Webデザインコンテストの目的は,「課外活動の一つとして学生諸君に目標を与え、授業科目と連動しながら、技術を磨き知識を獲得すること」そして,「それらを総合した創造活動力を養うこと」です.多くのみなさんが,Webデザインコンテストという課外活動を通して,創造的活動力を高めることを期待しています.

さて,今回の応募作品ですが,ここ数年間でみると,あっと目を引くような派手で突出した出来栄えの作品はありませんでした.全体に,ややおとなしくまとまっている感じがします.しかしながら,基本を押さえ堅実にまとまった作品が一定数あり,審査では受賞作品の選定に大変苦労しました.その結果,いくつかの作品に佳作賞を与えることになりました.また,例年のことですが,一般の閲覧者を想定しているWebサイトでは,閲覧者に何を伝えたいのかをよく考え,閲覧者の立場に立った説明や操作性を考えなければなりません.この点については,まだ多くの作品に努力が求められます.Webサイトもコミュニケーションの手段であると考えてください.

今回は,学内のWebデザインコンテストと国際コンテストの締め切りが異なっていたためか,国際コンテストのエントリー作品が少なく,追加募集することになりました.最終的には,5作品を国際Webデザインコンテスト応募作品に選びました.これらの作品の制作者は,10月にタイ王国・ラジャマンガラ工科大学タンヤブリ校の学生とワークショップを行い,Web作品の共同制作を通じて,大いに交流を深めました.この経験を生かして,今後は国際的な視野でのWeb作品制作力をつけてもらうことを期待します.

来年度の国際コンテスト・ワークショップは8月下旬から9月上旬にかけて行う予定です.また,国際コンテストおよび学内コンテストの応募締め切りは5月7日(火)になります.そして,国際コンテストの応募作品は,そのまま学内コンテストの応募作品を兼ねることになります.みなさん,今すぐに作品制作に取りかかり,力作を応募して,タイの学生とのワークショップに参加しましょう.

Minus- minus
最優秀賞 / テーマ部門
川村 実里,田代圭佑(情報メディア学科)

Minus-

SNSとの連携機能を生かした企画と技術力を高く評価しました。ダイエットの状況を出力するグラフ機能など,細かなところまで作り込まれています。デザインも可愛らしく仕上げてあるのですが,このサイトを必要とするユーザーには抵抗があるかもしれません。 しかしながら,企画,技術,デザインのいずれも大変に良くできている優秀なサイトであることは間違いないでしょう。

Eye Hacker eye
テーマ部門優秀賞 / テーマ部門
名越 慎,新谷 渚(情報メディア学科)

Eye Hacker

デザインと技術にセンスを感じる優秀な作品です。基本的なアイディアも良いので,中味が少なかったのが残念でした。この手の作品には,デザイン力や技術力はもちろんのこと,細部まで練り込まれた企画が重要です。その点に配慮して更なる飛躍を望みます。


フリー部門優秀賞 / 該当作品なし

体内健康マモルンジャー mamoru
アイデア賞 / テーマ部門
才田恵梨香, 今野なつき, 西亜里紗, 板垣愛稀(情メ)

体内健康マモルンジャー

子供向けの教育サイトとして,適切なテーマとそうでなさそうなものが混在しています。企画を詰める際に,もう少し中味を精査するともっと良い作品になったでしょう。デザインやイラストの設定は,子供向けに出来ていますし,使い勝手も良く仕上がっています。

ハコニワのそらPROJECT hacopro
イラスト賞 / フリー部門
小林 真弓(情報メディア学科)

ハコニワのそらPROJECT

「ハコニワ」と呼ばれる架空の世界を舞台にした物語を、様々なメディアを通して展開していくプロジェクトのWEBサイト。小林さんの多彩な才能が散りばめられています。設定も面白く、それを表現するイラストの技術は素晴らしいものがあり、また音楽制作にも高い能力があります。サイトの作りはシンプルですが、多くのコンテンツを分かりやすくつなげています。ただ、レイアウトが少々乱暴で繊細さに欠けます。TOPPAGEのデザインが良くなく、仕上げの時間がなかったのでしょうか?最後の仕上げに時間をかけられるよう、スケジュール管理が大事です。

polly maggoo polly
芸術賞 / フリー部門
澤 翔子(情報メディア学科)

polly maggoo

イラストのポートフォリオサイト。スクロールに応じて 紙芝居のように動いたり 背景などがズレながら動くところは非常に楽しいです。 Illustrationという文字をクリックすると作品が現れるのですが、わかりにくいです。わかりにくいと良さが半減します。損をするのは本人ですよ。このようなWEBサイトは型にはまることはないと思いますが、作品を紹介するのが目的ならば、もっともっと多くの作品を見やすくする作戦が必要です。そこに曖昧さは許されません。アート表現、イラストの才能は飛び抜けたものがあります。それを生かしながら、完成度の高い作品づくりに立ち向かってください。

五月七日町 ツアーナビ tuyori
佳作 / フリー部門
早苗 光貴(情報メディア学科)

五月七日町 ツアーナビ」

JavaScriptを多用したダイナミックなサイトで、技術は高く評価します。写真も綺麗に撮れていますね。ただ、ページの動きが逆に邪魔してしまって、情報の見やすさとしては逆効果に感じます。また外国人を対象としたサイトなのでしょうが、情報の提供だけで町の良さが何なのかが伝わって来ません。

I LOVE ROCK rock
佳作 / フリー部門
吉川 祐太(情報メディア学科)

I LOVE ROCK

サイトはJavaScriptを用いた動きのあるもので、デザインも写真を効果的に用いて、自分らしさの表現を工夫しています。ただ、このサイトを見てもらった時にユーザーにどうして欲しいのかがよくわかりません。

Beatz Machine beatz
佳作 / フリー部門
松浦 啓介(情報メディア学科)

Beatz Machine

内容を絞り込んでいるため,審査会ではボリューム不足との意見もありました が,架空のナイトクラブイベントの告知というサイトの位置づけが明確で,その 目的にあったデザインがしっかりと出来ている点を高く評価しました。イベント のイメージを伝えるためのデザイン面と技術面の工夫も巧みで,そのまま実際の イベントでも使用できるレベルに仕上がっていると思います。

Free Game&Music free
佳作 / フリー部門
北村 尚之(情報メディア学科)

Free Game&Music

過去に制作したゲームや音楽を紹介しているので、ボリュームは十分ある。それらの作品も良くできている。わりと良いできの作品かと思い、ソースを見て見ると、いきなりタグなるものが登場して残念に思った。全体的に、悪くはないのだが、何らかの賞には届かないということで、「佳作」となった。個人的感想だが、作品群の派手な色使いのため、ページ中の色数が多すぎると感じられる一方で、作品の画像を除いた部分だけを見ると、少し野暮ったく感じると言う点も賞に届かなかった一因かもしれない。

Motoki Lab. motoki
ビギナー部門優秀賞 / ビギナー部門
辻井 望(通信教育部)

Motoki Lab.

ビギナー部門としては十分なクオリティ。色数は少なく、物足りないとも見えるが、シンプルで良いとも言える。メンバーのイラストや、活動の画像などが雰囲気を伝えてくれている。十分な間をとって要素を配置しているのも良い。(が、もしかしたら、間が広すぎるところもあるかもしれない。)これに一ひねり加えて、見る人の目を惹きつけるようなデザインができたら、ビギナー部門以外でも賞が取れるのではないかと期待できる。 ソースも丁寧に書かれているようで、好感が持てる。

HAPPY HALLOWEEN!! happy
ビギナー部門努力賞 / ビギナー部門
塩﨑 亜都美(システム情報学科)

HAPPY HALLOWEEN!!

ハロウィンの楽しさが伝わるデザインに仕上がっています。コーディングではhtmlではなく,cssのみでデザインを施すようにするとイメージ通りのサイトに仕上がります。古い技術にとらわれず,新しいWebデザインの方法をこの機会に是非勉強して下さい。

Wood Fence wood
ビギナー部門努力賞 / ビギナー部門
松井 亜伊(システム情報学科)

Wood Fence

柵と土台を組み合わせて販売するというコンセプトは,はっきりしていますね.イラストも可愛らしいですね.しかし,販売サイトということなら,同様な柵のある家の写真を掲載するなどして,もう少し現実感も必要ではないでしょうか.このままだと,実際の販売サイトというには,物足りなさを感じます.また,販売サイトで「準備中」は,購買意欲をそぐことになりますね.時間が足りなくて,作品が未完成だったのだと想像します.今後向上する可能性があると判断して,ビギナー部門努力賞としました.頑張ってください.