Nietzsche

神は死んだ

・概要

ドイツの哲学者「ニーチェ」

生没年.1844年10月15日-1900年8月25日 実存主義の代表的な思想家の一人として広く知られている人物である。
ドイツ・プロイセン王国で生まれ、25歳には学生ながら員外教授に就任その後数多くの著作を書き上げたものの55歳に肺炎によって死亡している。 彼が残した著書はいくつかありその中の「ツァラトゥストラはかく語りき」はニーチェの主著であるとされている。

・ニーチェの思想

「神は死んだ」ニーチェを詳しく知らないがこの言葉は聞いたことがあるという人もいるだろう。ここではこの強烈な印象を残す言葉の意味と彼の思想について紹介する。

「神は死んだ」これは「全てが無価値になってしまった」と意味している。
19世紀後半、自然科学が進歩していくなかで人知を超えた現象と思われていたものは少しずつ理解され、神の御業と思われていたものは自然の摂理として説明されていった。 今まで絶対的なものだと考えられていた神の存在を、神への信仰を、価値のないものにしてしまったことで人間は神を殺してしまったと言っているのだ。 こうして無価値から生きる意味を見失い嘆き悲しむ状況を「ニヒリズム」という。

そんなニーチェの思想として「超人」と「永劫回帰」について説明する。

「超人」とは

先の「ニヒリズム」と言われる状況の中、それでも生きる意欲を失うことなく生を肯定し続け、自ら意味や目的を生み出し 新しい価値を創造するような「力への意思」を持つ人間。そんな強靭な存在を「超人」と例えているのである。 そして、その超人になるための段階として人間の精神の変化を「ラクダ」「獅子」「子ども」の3つに例えている。
ラクダは「その背負っている重い荷物から、負荷に耐え自分を磨く段階」
獅子は「自分を縛るものに反抗し、自由を求める段階」
子どもは「無心に遊び、永遠に回帰し続ける世界を肯定する段階」
今までの価値観などを捨て意味のない世界をそれでも肯定するのが超人なのである。 といった理想を掲げてはいるが平凡な人の価値というのもまたニーチェは認めている。

「永劫回帰」とは

超人の説明で永遠に回帰し続ける世界と説明したが、これもニーチェの思想の一つである。 ニーチェはこの世界は全てのものが同じように繰り返し続けていると考えた。 これは別の生き物として新しい生を受けると考える輪廻転生とも違い、今生きているこの人生が そのまま何度も何度も永遠に繰り返すのだと主張している。

・ニーチェの最期

ニーチェは肺炎で亡くなる前、45歳の時に精神病院に入院している。 御者に鞭を打たれる馬を見て激しく怒り、馬を抱きしめて泣き、そして発狂してしまった。 それから10年の間を廃人として過ごした。原因は脳梅毒ではと言われており、闘病のなか躁病や失明など 様々な症状に悩まされ晩年には文字を書くこともできなくなり亡くなったそう 一説によれば「母上、私は愚か者だ」が彼の最後の言葉だったとか。