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本学情報メディア学部の柿並 義宏教授と、高知工科大学システム工学群の西川 泰弘助教、山本 真行教授、大学院博士後期課程基盤工学コース3年のIslam Hamama、京都産業大学情報理工学部の瀬川 典久准教授らの研究グループは、「はやぶさ2」の地球帰還時の衝撃波を観測した超低周波音(インフラサウンド※1)のデータ分析を実施し、帰還カプセルの軌道を決定することに成功しました。
流星などの超高速の飛行物体が大気圏を通過する場合、音と光を出すことは知られていました。はやぶさ2帰還時も当初は光と音を発していましたが、光らず、音だけ発する場所があることが分かりました。2021年4月に札幌で話題となった謎の爆発音も光らず音だけ出した流星であると考えられています。
光だけでなく、音も利用することでロケットや人工衛星では計測しづらい大気上空の状態を調べられるようになると期待されます。
※1 インフラサウンド
インフラサウンドとは周波数 20 [Hz]以下の音である。人間の可聴域は 20 [Hz]から 20 [kHz]程度であるため、インフラサウンドは人間には聞こえない可聴域未満の音である。インフラサウンドは、火山噴火、地震、津波、落雷、土砂崩れ、大規模爆発などの災害をもたらすような事象によって発生することが知られており、これらをリモートセンシングすることで、災害の早期探知や規模解析を行うなど、減災に活用できる。2022年2月トンガ火山噴火で発生した衝撃波が本学に設置してあるインフラサウンドセンサーでも計測された。ゾウがインフラサウンドでコミュニケーションを行っていることでも知られる。
【プレスリリース】
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【論文情報】
掲載誌:Publications of the Astronomical Society of Japan
論文タイトル:Modeling of 3D trajectory of Hayabusa2 re-entry based on acoustic observations(インフラサウンド観測によるはやぶさ2帰還カプセルの軌道決定)
著者:Yasuhiro Nishikawa, Masa-yuki Yamamoto, Eleanor K Sansom, Hadrien A R Devillepoix, Martin C Towner, Yoshihiro Hiramatsu, Taichi Kawamura, Kazuhisa Fujita, Makoto Yoshikawa, Yoshiaki Ishihara, Islam Hamama, Norihisa Segawa, Yoshihiro Kakinami, Hiroshi Katao, Yuichiro Inoue, Philip A Bland, DOI:10.1093/pasj/psab126
https://academic.oup.com/pasj/advance-article/doi/10.1093/pasj/psab126/6527740
【関連論文】
Sansom, Eleanor K., et al. “The scientific observation campaign of the Hayabusa-2 capsule re-entry.” Publications of the Astronomical Society of Japan 74.1 (2022): 50-63.
https://academic.oup.com/pasj/article-abstract/74/1/50/6481224