あらゆる分野で「デザイン」の視点を導入する動きが進んでいます。私たちが抱える問題を解決できない原因として、「ビジョンの欠如」があると言われています。その欠如を穴埋めする手法として、多様な考え方や計画を纏めるのにデザインが有効とされています。デザインを基本にした思考や手法を活用し、散在している思いや考えを束ねて、映像や絵を描き、インタフェースを作り、具体的な方向性を提示するプロセスが有用と考えられています。コミュニケーションの必要性が謳われている現代において、このようなデザイン思考的要素を取り入れ、必要なスキルセットを身につけることが求められています。
デザインには、複雑な現象を見える化することにより理解を容易にし、あるいは見えにくい課題を顕在化させ解決に導く力があると言えます。このような観点から、デザインは将来を突き動かす大きなコミュニケーションの武器となるでしょう。メディアテクノロジーとデザインが融合した「メディアデザイン」には、さらに期待が膨らみます。メディアデザインには、イラスト、ゲームなどデジタル系から絵画、彫刻などアナログ系に至るまで多種多様な手法が含まれ、言葉や文化の違いを超えたグローバルコミュニケーションを追求する魅力的な潜在能力があります。
地球温暖化による自然災害、本来共生すべきウイルスの猛威、21世紀にあって想像もしなかった大規模な国際紛争などの混沌とした現実があります。このような状況だからこそ、先の見えない世界を解きほぐし、新たな未来像を創造する「デジタルデザイン」が必要とされています。本メディアデザイン展は今年で16回目を迎えます。テーマは時代を反映し大きく変わります。本学学生による映像やゼミ展示、WEBサイトなど、感性豊かな若者の表現力を駆使した「未来へのビジョン」がそれぞれの作品に反映されています。多くの方々の御参加をいただき、学生の想いを表現した作品に触れていただけることを期待しております。
2024. 02. 27