ホームセンターなどで販売されているカラス避けのグッズ。鉢植えや柵などの屋外で使用するアイテムの大半は、景観を損なわないような無難な色が多いですが、カラス除けのアイテムに限ってはド派手な「黄色」のグッズが多く見受けられます。これは恐らく、「カラスは黄色が嫌い」という有名な説が元になっているからでしょう。
しかしこの説について冷静に考えてみると、人間にとって生理的に嫌いな味や匂いはあっても、生理的に嫌いな色というのはほぼ存在しませんよね。カラスも同じように、近寄らないほど嫌悪する色が存在すると言われると、少し信じがたいような気がしませんか?
実際、この「カラスは黄色が苦手」というのは 完全なるウソ。これはとある誤解から生まれた都市伝説なのです。
事の発端は”カラスに荒らされにくいゴミ袋”が作られた時のこと。
「カラスは嗅覚が弱いため、餌を探すときは主に視覚を利用している」「カラスはモノをはっきりと認識するためには紫外線が必要」という2つの研究結果から、ゴミ袋の素材に紫外線をカットする顔料を練り込むことで中身を見えにくくした、従来よりも漁られにくいゴミ袋が開発されました。
完成したゴミ袋はしっかりとその効果を発揮したのですが、同時に、そのゴミ袋の色が偶然黄色だったために「黄色いゴミ袋には近付かないらしい」という話が独り歩きしてしまい、その結果「カラスは黄色が嫌い」という説が広まってしまったと言われています。
豚肉、牛肉、鶏肉をはじめ、山羊肉、鹿肉、馬肉、鴨肉など… 我々人間が食べられる「肉」には様々な種類がありますが、カラスの肉も、木の実など自然界のものを食べている個体の場合は食べることが出来ます。
カラス肉と聞いて、普段ゴミを漁る姿を見ていると思わず顔をしかめてしまうかもしれませんが、意外にも臭みはほとんどなく、弾力は強いものの調理次第で美味しく食べられると言われています。
日本国内では茨城県の「カラス肉の刺身」や長野県の郷土料理「カラス田楽」など、フランスではジビエ料理(野生鳥獣を使ったメニュー)の高級食材として使用されたり、韓国では薬として使用されることがあります。
カラスと言えばゴミを漁る姿を連想してしまうため、あまり清潔なイメージはありませんよね。しかし道端で見かけるカラスたちを見てみると、羽にはツヤがあり、泥やゴミがついている姿というのはほとんど見かけません。そう、実はカラスたちはとても綺麗好きな性格なのです。
カラスは鳥類にとって大切な「羽」を手入れをするために、真冬でもカラス達は毎日必ず1度以上の水浴びを行っているそうです。ただ、カラスの水浴び時間は「カラスの行水」ということわざが生まれるほど非常に短い時間で行われるため、普段見かけることは少ないかもしれません。
その他にも、寄生虫を寄せ付けなくするために、アリを自分の体にたからせてアリから分泌される蟻酸(ぎさん)を身体こすりつける「蟻浴(ぎよく)」 をする姿も観測されています。
注)カラスが綺麗好きとはいえ、人間に健康被害を及ぼす雑菌が付着している可能性はあります。カラスに触れた際は必ず手洗いや消毒を行いましょう。
野菜はもちろん、料理の隠し味としても使える万能調味料「マヨネーズ」。そのおいしさは、ご飯やラーメンにまでマヨネーズをかけたり、マヨネーズをそのまま食べてしまう「マヨラー」と呼ばれる人々が現れるほど。
そんな魅惑のマヨネーズですが、実はカラスにとっても大人気だと言われており、カラスがゴミ捨て場で見つけたマヨネーズを咥えて巣に持ち帰り、わざわざあの分厚いパッケージを破いてまで舐めようとする姿が各地で目撃されています。
ハシブトガラスがゴミ袋の中のポテトやフライドチキン等のジャンクフードや、山に実っている植物性の油脂が多い種子を好んだり、北海道の知床周辺に生息しているワタリガラスが大型獣の脂肪部分を好んで食べることから、彼らは脂肪や油脂といった高カロリーなものが好みだと思われます。
世界中の動物の中で「最も頭の良い動物」は、人間に一番近い動物と言われる「チンパンジー」。彼らは極めて知能が高く、訓練をすることで簡単な言語を習得することが出来たり、じゃんけんも理解することが出来ると言われています。
では、チンパンジーの次に頭の良い生き物は誰なのでしょうか?
近年の研究によると、なんとカラスが2番目に頭が良いと言われています。
カラスは全体重に対する脳の重さが犬や猫よりも大きく、人間でいえば5歳程度の知能を有すると言われています。そんな彼らの知能の高さを証明するエピソードとして、ニューカレドニア島に生息しているニューカレドニアガラスによる知能実験が有名です。実験内容は「複雑に組み合わせたパイプの中にあるエサを道具を使って取ることができるか」というものですが、ニューカレドニアガラスは、エサを取るために種類の異なる道具の特性を理解して使用した、という驚きの結果を出しています。
また身近な例だと、日本の市街地にも生息しているハシボソガラスは、クルミを空から車道に落として通りすがりの車に轢かせることで中身を取り出そうとする個体が存在するようです。
皆さんは「卵」と聞くとどんな色を思い浮かべますか?恐らく大半の方は、鶏の卵のような真っ白いものを思い浮かべると思います。しかしカラスの卵の場合はなんと、くすんだ青緑色にウズラの卵に似た模様という、まるでチョコミントのような色合いになっているのです。
普段の生活において青色の卵というのは馴染みがありませんが、実は鳥類の卵において、このような青色の卵というのは決して珍しくありません(例:ムクドリ、コマドリなど)。卵の色はプロトポルフィリンとビリベルジンと呼ばれる成分の割合で決まるのですが、カラスやムクドリ等はこの色素の割合が青色に傾いているため、写真のような青色になると言われています。卵が青い理由には様々な諸説があり、その中でも「空の色にカモフラージュしている」という説が有名です。
カラスは死んだ仲間の死骸を見つけると、その死骸の周りを何十匹ものカラス達で飛び周り、大きな声で鳴き叫びます。その姿はまるで葬式のようで、仲間を想うカラス達による感動的な光景にも見えます。
しかし実際のところ、彼らは仲間の死を悼んでいる訳ではありません。
これは死骸の近くに集まり、命を落とした仲間がいることや、周囲に何らかの脅威がある可能性を伝え、その脅威に対してどのような対応をすべきか見極めるための行動と言われています。そのため、彼らの"葬儀"中に死骸へ近付いてしまうと、上空で警戒中のカラス達に仲間を殺した犯人と勘違いされる可能性が非常に高いです。また、カラスは1度覚えた人間の顔はしばらく忘れることがなく、何度も同じ人間に襲いかかることもあるため、無闇に近付かないよう注意しましょう。
注)カラスの死骸を見つけた場合の対処法については、各市町村や鳥インフルエンザの感染状況などによって対応が異なるため、各自治体のHP等を確認し、その指示に従った対処をお願いいたします。